初音ミクは悲劇のヒロインになる
初音ミクに、悲劇を起こさせないようにするには
今述べたようなことを個人で実践している人は少なくないだろう。また、そのような新たな音楽を作り出すための楽曲製作を行っている人もいるはずだ。けれど、人前で多く演奏され、人々が共感を持つ曲というのは、今の時代に産まれる曲であれば、やはり分かりやすい曲なのだ。テレビで活躍するアイドルの楽曲をちょっとでも聴けば分かることである。
そのような時代が決して間違いだとは思わないが、このような時代からずっと前に進まない、停滞してしまった場合、大衆音楽という文化はやがて廃れてしまう。
そんな中、世界的に活躍しているアーティスト初音ミクが登場したことによって、我々の音楽にはまだ希望があることが証明された、と言ってもいい。何故なら、彼女を世界に送り出したのは音楽業界ではなく、我々個人での力が集まった結果なのだから。
しかし、初音ミクを世界のアイドルにしたから終わり、では、今までやってきたことと変わらない。今、彼女が歌う曲を「未来の音楽のカタチ」としてしまった場合、何度も言っている「悲劇」を巻き起こしてしまうことになるのだ。
初音ミクがここまでに世界に広がり、評価されているのは、彼女の容姿や歌声だけではない。
そこには、初音ミクをきっかけに少しずつ繋げ、広げていった、年齢や性別、文化や国も関係ない、個人個人の繋がりがあるのだ。
その繋がりが音楽の進化を産み出し、今度は新しい音楽の時代を世界的に切り開いていくのかもしれない。
そうなれば、初音ミクは悲劇のヒロインではなく、新音楽のヒロインとして、世界に愛される存在になるだろう。
作品名:初音ミクは悲劇のヒロインになる 作家名:みこと