詩集・空への伝言
楽園
雲の崖
はるか上空に漂う楽園
滝の音、鳥の声
澄み翠の岩泉
水を掬う手は緩やかに冷えて
透明の幻想を透かして見る空
囲む木立の深呼吸
空気のような細かい水滴
乾いた空気に蒼の光
白壁からのぞくライラックの香り
風の道に乗り
光る小道に絡まりついて
端覆う草に染み渡る
微細な星がちりばめられて
月は満ちても
夜は来ない
そこにあるもの
濃い藍の空
眠りを知らない光の饗宴
地上に溜まる意識
空に漂う憧れ
空の楽園
土の楽園
果樹の香り、冷えた清水
白雲の谷、風の音
萌え広がる若葉の香り
花の乱舞
穏やかな時
滝の音、鳥の声
あらゆる色のあるところ
あらゆる音のあるところ
あらゆる意識のゆくところ