小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

嫁入り前夜

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

「じゃ、コウヘイのいない間に遊びにいくよ」
「絶対、絶対よ。約束だからね」
「うん、約束」

わたしは彼女にゆるく指をからませ、振ってみせた。
少し落ち着いたのか、鼻をすする音が小さくなる。

「さ、じゃあもう寝よう。
 寝不足の顔で、コウヘイに会いたくないでしょう?」
「うん――ねえ、りかちゃん。
 わたし、いいパートナーになれるかしら」
「なれるよ、きっと。
 そりゃ、期間は限られてくるとは思う。
 でもね・・・本当にコウヘイにあんたが必要なとき、そばにいてあげて。
 片時も離れないであげて。
 それが、本当の『いいパートナー』なんだと思うから・・・」
「・・・うん」
「コウヘイのこと――よろしくね」

わたしは、胸に広がる切なさを隠して笑ってみせた。
この痛みはなんだろう。
コウヘイの一番そばにいられるのが、自分でなくなる悔しさだろうか。
それとも、大切に大切に作り上げてきた彼女という存在を、コウヘイに奪られる口惜しさだろうか。

「ねえ、りかちゃん。
 りかちゃん、コウヘイのこと・・・好きなのね。
 だからあたしを作ったのね」

わたしは、その問いかけには答えず、眠ったふりをした。

あした、彼女は嫁にいく。
わたしの大好きなひとのところへと――・・・
作品名:嫁入り前夜 作家名:中山月夜