ローラ×ローラ
――前略 親愛なるソフィーさんへ
私の体調を気遣っていただき、本当にありがとうございます。私はすこぶる元気です。予定通り、政務を執り行うつもりです。体調は大丈夫ですので、お気持ちだけありがたく頂戴いたします。
昨日の件について、ソフィーさんが関与したと私は全く考えておりません。ソフィーさんの毒がワインに入れられたという証拠はありません。仮にそうだとしても、それはソフィーさんではなく、ソフィーさんを女王にしたいというおじ様の親心だと思います。色々とありますが、そのことでソフィーさんはもちろん、おじ様に対しても恨んだり――
ふと、そこまで書いたときに、先ほどの夢を思い出した。あの時のことをソフィーさんは覚えているのでしょうか。思いを込めて丁寧に書き続ける。
――恨んだりしません。
そういえば、今日、昔のことを夢に見ました。ソフィーさんは覚えていらっしゃるでしょうか。いつだったか覚えておりませんが、お母様が、魔女の力は呪いの力ではなく、笑顔と希望を与える力だと教えてくださいました。
私たちの力も誰かを疑ったり呪ったりするためにあるのではなく、私たち、そして他の全ての人々に笑顔と希望を与えるためにあるのだと思います。私もソフィーさんもそのようなことがあったと思います。
私はソフィーさんともずっと仲良くしたいと思っております。私がそのために力を使うことはあっても、ソフィーさんを呪ったり憎んだりするために力を使うつもりはありません。今はお互い顔も合わせづらい状況ではありますが、いつの日か以前のように楽しくお話しできたらと思います。
ソフィーさんもくれぐれもお身体をご自愛ください。私は大丈夫です。
ローラより かしこ――
使い魔のドラに手紙を託す。窓から金色の光が差し込んでくる。気がつけば、朝となっていた。