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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「許されぬ想い」 第二話

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自宅に帰った伸子に子供達が手紙を渡した。夫からのものだった。

「ねえ、お父さんからよ。なんて書いてあるか読んで、お母さん!」

「はい、今読むから・・・」

内容は元気にしているかという言葉から始まって、自分の生活の様子と真面目にしていれば一年ぐらいで仮釈放されるということが書いてあった。

「お母さん、良かったね。来年にはお父さん帰ってくるのよね?」

「そうね、この手紙だとそういうことになるわね」

「ねえねえ、帰ってきたらお祝いしてあげるでしょ?手作りでケーキ作ってあげたいけど構わない?」

「喜ぶわよ。ママも手伝うから大きなやつを作りましょうね」

「うん!」

娘の嬉しそうな顔を見て伸子は苦しかった胸のうちが少し解かれたような気がした。
その嬉しさが誠人に逢う時間を躊躇わせることなく楽にしていた。不思議なものだ。夫のことを嘆き悲しんでいる時には考えられなかった自分の歓びを見つけようなんて言うことが、今は考えられるようになっていた。家族では叶えられない女の部分を伸子はそろそろ感じ始めていたのかも知れない。

金曜日が来た。

「お待たせ。早く乗って!」

誠人は急かせるように伸子の手を引っ張って車に乗せた。

「誠人さんったら・・・そんなに急がせて、どうしたの?」

「これ!見て。綺麗だろう。早く渡したかったんだ」

真っ赤なバラの花束がしっかりと包装されメッセージカードが添えられていた。

「こんなものを!私のために?・・・ありがとう・・・言葉にならないわ」

「いいんだ。大好きなキミのために用意したんだから。喜んでくれて嬉しいよ。メッセージ読んで・・・」

「うん、これね・・・」

カードには好きであるということに付け加えて、一つになりたい・・・と書き添えられていた。

伸子は答えられなかった。
じっと見つめられていることを知りながら、うつむいてじっとしていた。