育 MEN
「そう言うことじゃないでしょ」
あきれる彼
店員が注文を聞きに来る
「コーヒー」と彼女が言った
「いや...オレンジジュースにして」
「どうして?コーヒー」
「カフェイン取り過ぎは良くないよ」
「何言ってるの いつもの事じゃないの」
「コーヒーね」
「オレンジジュース!!!」
店員が困ったようにふたりを見る
彼女もほら困ってるじゃないのと 彼を見た
頑固な彼 根負けしたのは彼女だった
「わかつたわ オレンジジュースにします」
「オレンジジュース おひとつですね」
店員が念を押す様に聞いた
ふたりのやり取りを周りのお客が見ている
「まったく どうしたのよ」
彼が彼女をじっと見た
ん?何?と 顔をする彼女
彼が お気に入りの赤いレザーのボディバッグから 何かを 取り出した
そして テーブルの上にその取りだした物を置いた
彼女が驚く 周りがざわめいた
彼女が咄嗟に両手で隠した
「2個ひと組らしいけど…ここにひとつあるって事は…」
「満月...どうしてこんなものをここで出すのよ みんな見てるじゃない」
と小声で言う彼女
ここは ビジネス街にある 洒落たオープンカフェ
若いOLやビジネスマンで今 時分 満杯になっている
彼と彼女はその中央のテーブルに向き合って座っている
人目を引く彼である 注目度は半端ないものだ
その注目の中で
彼は…
例の物をあからさまにテーブルの上に出して見せたのだ
顔から火が出そうな程恥ずかしい彼女
「人は人 これは俺たちの問題 で 試したの?」
「場所を変えて話しましょ ねっ」
「答えて?」
「だから…」
「お待たせしました」
店員がオレンジジュースを運んできた
「あ..すいません」
彼女が例の物から 手を離してしまう
あらわに丸見えな 妊娠検査薬….
「げっ…」
店員が驚く
また彼女が隠す
「百合 答えて?」
困り顔の彼女….
ねじり寄る彼….
注目している傍観者達
あんぐりと口を開けたまま呆然と立ち尽くす店員
秋の晴れた空は高く どこまでも青空が広がっていた