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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夢の中へ」 第十一話

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表木戸を開けると一通の手紙が土間に投げ入れられているのが目に入った。まどかは中を開いて驚いた。奥の間に居た藤次郎にそれを見せて、話しかけた。

「これは懐かしい次郎佐からのお手紙。何のご用向きでしょうか」

「書いていないから解らぬが、何か大切な事を伝えるためにここまで来られたのであろう。お待ちしているとお返事を差し上げるが良いだろう」

「はい、ではお迎えに出向いてまいります」

まどかは文にかかれてあった辻堂の付近まで次郎佐を迎えに出て行った。

「これは、次郎佐さま!お懐かしゅうございます。まどかです」

「おお、そなたは相変わらず美しいのう・・・もう幾つになられた?」

「はい、37になりました」

「そうか、そのように日が経ったのだな・・・藤子さまはお元気で過ごされておられるか?」

「はい、つい最近子を産みましてございます」

「ほう、そなたには孫が出来たというのじゃな?」

「その通りでございます。お恥ずかしゅうございますが腹に二人目のややが居りまする」

「それは目出度い!その歳でややをもうけるとは、天の恵みじゃ。大事になされよ・・・ところで用件じゃが」

「ここでは何でございましょうから、我が家に起こし下されませ。狭いところではございますが藤次郎も今日は居りますので是非に会ってやってください」

「藤次郎か・・・懐かしい名前じゃ。もう立派な窯元にでもなっておるのかな?」

「今は任されて忙しくしております。これも次郎佐さまのお口添えの賜物です。感謝申しあげておりました。御礼に出向かねばならぬところ何かと忙しくしておりまして、ご無礼を仕りました。この場でお許しを願いとうございます」

「良いのじゃ、そのような堅苦しい事は。今があるのはそなたと藤次郎の努力の賜物じゃ。では、寄せてもらう事にしようかの」

藤次郎は次郎佐が明智の出身と聞かされて自分とまどかの度重なる運命に何か関係していたのだと勘ぐっていた。

「次郎佐さま、本当のことを申してくださいませんか?まどかとここへ来るように勧められたのは今日のことと偶然では無いような気がしております」

「うむ。藤次郎。今日ここへわしが来たことはお前たちと出会った頃に予測していたことではない。城を追われて鳴海の地へ逃れた事は己の身分を隠すためではあったがのう」

「己の身分とは・・・なんでしょうか?」

「明智家の再興じゃ。道三に国を追われてから殿とはいつか元通りの国づくりをやり直したいと今日の再会を誓っておったんじゃ」

「殿とは誰の事を言われておられるのですか?」

「光秀様じゃ」