困った時のイエス様
幸福を
人口16万人ほどの地方の町である。この街でも以前の中心街は、ほとんどの店がシャッタ―を閉めたままである。以前の国道も新しく出来た道にその名を奪われた。その道から少し裏手になるが、富士画廊の看板がある。高福男はその店の経営者である。年はちょうど50歳になった。
店には伊藤清永の裸婦や織田広喜のピエロ、西村龍介のパリの風景が等が飾られている。それらの絵は100万円を優に超える額である。そのほかにはミューシャやウォホールのシルクスクリーンなども飾られている。これらも100万円前後の金額である。
高額の絵を展示しているのにはそれなりの訳があった。
「こうふくお」は金に困った人たちに「幸福を」与えることになったのである。