詩集 風の刻印
回帰する民族
あなたはその優しい腕で
全てを包み込み
全ての罪を償い
全ての者を許した
あなたはその優しい腕で
真実を見つめ
愛を伝え
かの地に約束を残した
ああ、なのに
なんと多いことか
悲しみも
憎悪も
罪深き者の全ての罪も
かの地はあなたの言葉を聞いたのか
かの地はあなたの血を吸ったのか
約束は果たされぬまま
疲れきった欲望と想像の現実だけが
あなたの存在を閉じ込めた
土の中に
血の中に
そして、
鋭い光を晴天に放つ黒い銃口の中に
あなたの言葉は
枯れた地に息づく蟲の糧になり
あなたの瞳は
ダイヤモンドの輝きを帯びて利得の象徴に輝く
あなたの痛みは
栄光に消し去られ
あなたのしたこと全てが
ただの物語として語り継がれ
そして
その痛みも和らぐことなく
伝えられることなく
その悲痛な叫びは
荒野の銃声にかき消された
伝えられるべきものを知るものが
その腕を天に差し伸べ
あなたの痛みを掬い上げ
あなたの叫びを拾い集め
あなたの腕に復活の刻印を刻んだのならば
それが救いを司る者の真の姿なのだろう
救い主たるあなたの腕の中で
もうひとつの希望が目覚めるまで
あなたは耐えてくださるのだろう
あなたは許してくださるのだろう
あなたの名を呼ぶ全ての罪深き者のために
あなたは祈るのだろう
その赦しが
天に満ちるまで