詩集 風の刻印
山と故郷と灯火
幾千の山を越えて
たった一つの道を選んで
森へ還った
いつかはここへ辿り着くと約束した
いつまでも足の下で響く呼び声に
決して、揺らぎ崩れることのないこの大地に
生まれたときに体に刻み込まれた
過去との約束を果たすために
星は、その腕に夕暮れの歌を抱いた
透明な空気が天空を支配するとき
山の端に見えた暖かい灯火に
心の全てを委ねながらも
遠い呼び声に刹那の安らぎを託す
旅人は
北へ、北へと
その足跡を刻み込んでは
黄金の鉋で
丁寧に削った
街道はそれを繰り返し
いつしか姿をくらました
追い求め、繰り返し
帰還するもの
森は深く、運命は遠くへ流れ
それはやがて聞こえ来る
南へ向かった旅人は聞いた
遥かなる大地の呼び声を