詩集 風の刻印
血の闘争
助けることができたのだ
その傷ついた身体を
友を思う屈強の魂を
赤黒い砲弾の中に埋めてしまう前に
境界線を踏み潰した瞬間
狂気と略奪に汚された土地は
かつて精神を共有した白い橋は
この薄汚れた血を呪えと
繰り返すように何度も訴えた
永遠の友情を誓った丘があった
帰るべき家があった
愛すべきもののために懸ける命があった
民族統一の名のもとに
何もかもを消し去った
懐かしい響きの言葉のかけらさえ
その唇から葬り去った
その不自然な支配に
身を染めたと気づいたとき
ようやく全てを失った
戦ったのは誰だったか
決してその銃口を
友に向けることのなかった細い腕を
まるでパンの生地を切り離すかのように
ちぎり取ったのはなんだったか
涙はすでに縁のない代物だ
今は亡き親友のために流されなかったものに
いかようにして再び見えようか
今は無きその美しい石の橋は
もう二度と
かの過ぎし日を、遠い故郷を
その下を流れる川面に映すことはないのだから