プラムズ・フィールド 〜黒衣の癒師〜 【第四章】
店主は水晶をカウンターに置くと、強ばった顔を私に向けました。
「お客さん、そりゃあ……」
「は、はひっ」
嘘がバレた……私は生きた心地がしませんでした。
「そりゃあ大変だったなぁ」
「はいっ! それはもう!」
私は繕った笑顔が引きつらないようにと必死でした。
代金を受け取って店を出ると、私は戻らなくなった顔を両手でほぐさねばなりませんでした。
最高級ランクと鑑定を受けたヤロ水晶の対価は、私の旅費の心配を一気に解消してくれるものでした。
二都山道を馬で下ること三日。私はようやく、旅の復帰点であるウォールズの都、オピアムに帰ってきました。
作品名:プラムズ・フィールド 〜黒衣の癒師〜 【第四章】 作家名:あずまや