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出会いは衝撃的に(後半)

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 浅野の母は風呂敷包みから卒業証書を入れるような筒状のものを出し、その中から黄色く変色した紙を何枚も出して大理石のテーブルに広げた。それは、幼い頃から中学生時代にかけて浅野が絵画コンクールで受賞した際の賞状だった。
「恥ずかしいなあ、そんなものをよく取っておいたものだね。親バカ丸出しだよ」
「浅野君。お母さんの期待に応えるためにも、頑張ってくれないか。まだ若いんだし、その気があれば美大にも行かせるよ」
 美絵の父は力説する口調だ。
「小絵です。お姉ちゃんのためにも、浅野さん。頑張ってください」
 そう、真剣な表情で云ったのは、美絵の妹の小絵だった。
「浅野さん。美絵があなたを見初めたのは、十四年も前のことなのよ!」
 美絵の母の佳子は、そう云って眼を潤ませた。
「お母さん。そんなことをバラしたら智明さんが亭主関白になっちゃうわ」
 そう云いながら、美絵も眼を潤ませている。
「美絵さんは本当にきれいな人だね。こんなにきれいなお嬢さんに見初められたなんて!わたしも鼻が高いわ」
 浅野の母も眼を潤ませながら云った。
 腑に落ちないのは浅野のほうだった。
「十四年だなんて、どういうことなんだろう」
 村田がそれに応えた。
「浅野君、憶えてないのか。十四年前、アトリエにこの姉妹をモデルとして駆り出したことがあっただろう。どっちでもいいから気に入ったほうを描きなさいと俺が云ったら……」
 父を制して美絵が引き継いだ。