廉歌
絵かきのように
見つめてれば良かった。
だけど
僕の筆は 拙くて
カンバスに君の翼は
納まらなかった。
咏詠みのように
仰ぎ溺れれば良かった。
だけど
僕の指は 臆病で
零れ唄をかき集めては
君の名前を削り
自分の心にそれを隠した。
僕の心は
君の名前で
足の 踏み場もなくなり
だから僕は
火をつけた。
今
僕は
焔を描き
焔を謡う。
君の名前が
鮮やかに輝く。
君の名前が
しなやかに踊る。
君の名前が
熱を 帯びて
ぱちぱちと僕の部屋を屠る。
君の名前は
焔さえ
虜にするのか。
3/19…2007
MUSE