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かいかた・まさし
かいかた・まさし
novelistID. 37654
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富裕層会議

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最終会議 緊急事態



「預けたお金が一瞬にしてちゃらになってしまうなんて」

「畜生、金融屋と来たら、とんでもないことに投資しやがって。まあ、何とかなる私たちは世界中に資産がある。それに、今度なくなった金も、公的資金として税金で穴埋めして貰えば、損得なしで済む。潰すには大きすぎると口実を作ればいい」

「原発はどうなってしまうの?」

「放射能は撒き散らされたが、私たちのところまでは来ていない。賠償は税金や電気料金を値上げしてまかなう。電力会社は存続できる。放射能も大したことないと民衆には御用学者を使い安心させよう。とりあえず、どこも原子炉停止中だが、なあに、ほとぼりが冷めれば再稼働させる」

「ああ、よかった」

「おいおい、外がうるさいぞ」とタキシードを着た紳士が窓の外を見下ろして言った。

「なんだ、職をくれ! 税金の無駄遣いをするな! 戦争反対! 原発を止めよ! だと」

「もの凄い数の人だわ。警察も抑えられないほどの規模のデモ隊よ」

外の庭を埋め尽くすように、プラカードや幟を持った人々が群れをなしている。

「どうしてここが分かったのだ? 秘密の場所だぞ」

「どうやらツィッターとフェイスブックで広まったらしいわ」ダイヤのネックレスをつけた貴婦人がアイパッドを見て叫んだ。

すると、ドン、ドン、ドアを誰かが叩く音が。その音はひっきりなしに続く。そして、ドン、ドン、大きくなっている。叩くというより、体当たりしているような音だ。ドアには鍵がかけられている。常にそうだ。大事な秘密会議なのだから。

「警備を呼べ」

電話をかけたが、何の反応もない。

ついには、ガターンという音とともに、ドアが開いた。どっと数十もの人々が会議室になだれ込んできた。富裕層たちはシャンパングラスを手から落とし、慌てふためき逃げようとしたが、行き場がない。ついには、民衆に倒され、あしげにされた。それは、自らがあしげにしてきた者達からのお返しであった。

終わり
作品名:富裕層会議 作家名:かいかた・まさし