光の中
赤い光が私を照らしている。夜の闇を迎える準備が始まり、道の電灯が付き始めた。
近くには誰もいないはずだ。
学校の帰り道はいつも一人で、この静かな道を歩いている。そして今日は特に静かな感じがする。
何となく、後ろから気配を感じている。だが、私の身体は怖がって後ろを振り返れないでいる。
その緊張しきった私の感情が、異常なまでに跳躍したのは右肩に“手”の感触があったからである。冷たく、何より重い誰かの“手”がほのかな握力を持って私の右肩に圧力を与えてくる。状況のせいだろうか、私の身体の感覚がいつも以上に研ぎ澄まされていた。ゆえにその怪しい“手”の平に接続されているはずの指の数が一本足りないのが分かった。右肩には“親指”“中指”“薬指”“小指”の四本しか乗せられていなかった。
…○○○さん……ねぇ○○○さんってば。
背後からそう聞こえた。明らかに私の名前だった。でも私には“人差し指”の欠けた友人などいない。
…ちょっと……おーい…○○○さーん。
足先から徐々に感覚が消えてゆき、そしてついに両肩までが凍結を覆った。
近くには誰もいないはずだ。
学校の帰り道はいつも一人で、この静かな道を歩いている。そして今日は特に静かな感じがする。
何となく、後ろから気配を感じている。だが、私の身体は怖がって後ろを振り返れないでいる。
その緊張しきった私の感情が、異常なまでに跳躍したのは右肩に“手”の感触があったからである。冷たく、何より重い誰かの“手”がほのかな握力を持って私の右肩に圧力を与えてくる。状況のせいだろうか、私の身体の感覚がいつも以上に研ぎ澄まされていた。ゆえにその怪しい“手”の平に接続されているはずの指の数が一本足りないのが分かった。右肩には“親指”“中指”“薬指”“小指”の四本しか乗せられていなかった。
…○○○さん……ねぇ○○○さんってば。
背後からそう聞こえた。明らかに私の名前だった。でも私には“人差し指”の欠けた友人などいない。
…ちょっと……おーい…○○○さーん。
足先から徐々に感覚が消えてゆき、そしてついに両肩までが凍結を覆った。