CROSS 第19話 『Visitor』
第5章 代行
【時間軸】 … 異次元暦42733年 12月14日 昼前
【場所】 … 『ファ・ディール』(『聖剣伝説LOM』の世界)
『港町ポルポタ』 シーサイドホテルのとある客室
「……なるほど。つまり、ザフトの国防事務局の連中は、アーティファクトを横取りしようとしていたんだな?」
サプレッサー付きのピストルを持ったガリアは、目の前にいるスーツ姿の一人の男に言った。ヘーゲルと佐世保とガリアとウィルは、なんとかホテルまで戻ってきた。全員の隊員はまだ帰還していなかったが、ホテルについた彼らはまず、この情報将校二人を客室で捕まえた。
なぜ、今は「一人」なのかというと、「暴発事故」が起こり、片方の情報将校が「事故死」してしまったのだ……。ガリアたちは、この「暴発事故」を、「情報将校同士の仲間割れによる射殺」となるようにしておくことにした……。
この「事故」の後、もう一人の情報将校は口を閉ざすのをやめ、ペラペラ喋り始めてくれた……。
「ああ、そうだ。山口少佐を拉致したのは、使い方を知るためだろう」
情報将校は、すぐ横で永眠している元同僚を尻目にそう言った……。
「それで、山口少佐が今どこにいるのかは予測できるか?」
「国防事務局の連中は、今ごろプラントへと向かっているだろう」
「……わかった。じゃあ、迎えに行くことにする」
「君らだけでプラントに乗りこめるというなら、我々はとっくにやっているよ!」
情報将校は、吹き出していった。ガリアは、その態度が気に入らなかったらしく、
「オレたちはCROSSだぞ!!! オマエラといっしょにするな!!!」
そう怒鳴ると、ウィルに窓を開けさせた。そして、ガリアは、情報将校を窓のすぐそばへ連れていき、彼を窓から突き落とそうとした。
「おい!!! ちゃんと話したじゃないか!!!」
情報将校は必死に抵抗し、ガリアは乱暴に彼を窓の外へダイブさせようとしていた。
「入るわよ」
そのとき、少女の声が部屋中に響き渡った……。その声を聞いた途端、部屋にいた全員が動きを止め、すぐに直立不動の姿勢を取った。
そして、少女とメイドが部屋に入ってきた……。
部屋に入ってきた二人は、幻想共和国の紅魔館のレミリアと咲夜だった……。レミリアたちは、ヘーゲルの前で立ち止まった。
「山口の居場所はわかった?」
レミリアがヘーゲルに静かな口調で尋ねる。山口が捕まったことをもう知っているようだ。
「この男が言うには、プラントへ向かっているのではないかとのことです」
ヘーゲルは情報将校を指さして言った。
「そう。悪いんだけど、あなたたちCROSSに任務が入ったわ。すぐに出発しなさい」
レミリアがそう言うと、ガリアとウィルは顔を合わせた。
「任務に支障がないぐらいなら、山口の捜索に当たってもいいわ。本当は山口に直接頼みたかった任務なんだけど、任務の詳細は、私の艦で話すわ」
「そうですか」
「ああ、その役立たずは殺してもいいわよ」
レミリアは最後にそう言い残すと、咲夜を連れて部屋から出ていった。ヘーゲルたちは、役立たずの情報将校の処分方法をすぐに思いついた……。
作品名:CROSS 第19話 『Visitor』 作家名:やまさん