球体地獄
pear pear parent
白磁のような卵殻に
ビビビとヒビが入る
黄色い羽毛がチロチロはみ出す
もうぴよぴよが聞こえている
ヒビのラインは既に太ペン
轟音を上げ稲妻を描く
そして命が
飛び出してきた
ぴよ!
黄身に毛が生えた程度の
半熟な生命
不思議そうに僕を見つめる
幼すぎる眼差し
僕を親だと認識しようとしているのか
この罪深い僕を・・・
僕の唇は躊躇する
真実の残酷を告げることに
僕は君の親ではないのだ
それどころか・・・
よちよち
倒れながら迫り来る
ほやほや
僕は・・・
しなだれた心に
罪悪感を添え木して
立たせる
僕は・・・
君の両親を屠殺した者です
ぴよ?
まだ産まれたて過ぎて
怒りも憎しみも知らないのだろう・・・
それでも言葉の意味を知り
ちっちゃな瞳を何度も瞬く
涙が羽毛のカールを滑って
僕に跳ね跳ぶ
君の涙に濡れながら
祈り模し
僕は誓う
君が雄々しく鳴く日まで
きっと守り続ける
君が天に召されるまで
全てを捧げ育むから
いつか許してくれ
僕の罪を・・・
朝日がようやく差し込んで
僕の肩に光を置く
ぴよぴよが減音してゆき
黄色い嘴が僕の指に触れる
そうして僕らは本当の親子になった