球体地獄
噛まない夜はないじゃない?
ガムだと思ってるのね?
私を
アスファルトにこびりついた
黒い残骸の私を・・・
確かにガムだった時もあったわ・・・
あの時私は
あなたの手によって
おしゃれな衣服を脱がされて
銀の下着も剥ぎ取られ
あなたのお口で愛されて・・・
心涸れるまで愛されて・・・
しまいに
飽きて捨てられて
・・・恨みつらみではないの
それでも
私にはいい思い出だし・・・
でもあなた・・・
お口の恋人よ
ガムという私のこと
よくよく知りもしないのでしょ?
違うというのならば
私を構成する材料や甘味料を
正確に言ってみてよ
・・・・・
やはり知らないのね
あんなに激しく弄んだあげく
ぷふっと路上に吐き捨てておいて・・・
ねぇ本当に私を愛していたの?
それともただの遊びだったの?
今の私を見て
あなたに吐き捨てられて
年月に踏みしめられた私
この体を構成している物は
一体何だと思う?
今の私・・・
繁華街の憂い
靴が運んできた遠い街の記憶
雨水の抱えていた悩み
無関心と言う名の殺意
そういった唾棄すべき物すべての
集まりなの・・・
すっかりスレてしまい
もはや面影もないけど
貴方が愛してくれたこと
今でも忘れていません
私は
もはやガムではなく
愛と不純物の塊なのです