球体地獄
唇に指当ててC
僕は彼女を書く
彼女(She)という憧れを恣意する
肉体について言及する
光子を放つエナメル髪
新素材ビニールの唇
眼差しはグロスすぎる魔
肌はWhyと白すぎる妖艶
輪郭は愛しい曲線の重なり
神が僕のためにデザインしたと
聖書に書いてあった通りだ
↑は何度目の試み?
兎にも角にも
僕は書いてきた
何度となく書いてきた
Sheを・・・
そのディテールを
この世に現出するほどに
詳しく
爪の形や肛門の皺さえも
描いてきた
恋すべき女性を書いてきたつもりが
いつしか書いてきた女性に恋をしている遍歴
そのクロクニルを黒く煮る
割れ鍋は我
夜をなべて世を嘗める
いつしか
僕は才能が折れたHB
木屑が物語る
僕の言葉は闇雲で
彼女を生命として発生させるには
整合性がなさすぎる・・・
僕は自分を分解し
詩になろうと試みる
もはや僕の方から彼女に会いに行くしか無い
僕を分解する酵素が欲しい
神よ
僕を彼女が望む形に再創造してはくれないか?
溶けるまでは容易く
文章に遊ぶ
彼女の隣に行をつくるほど
僕は精製されていない駄文
所詮メモ端の落書きなるや我が生命
僕の書かれた紙片を
詩篇に焦がれたとりとめのない僕を
スニーカーの隣に発見したならば
どうかお願いだ
胎児と一緒に
へしゃげたコインロッカーに
叩きこんどいてくれ
そこで僕は
何かになれそうな気がする