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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夢の中へ」 第八話

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「どうされましたか?信長様が嫌なことを仰せになられたのでしょうか?」

「いえ、違います。信長様は私にたいそう優しくしておられました」

「優しくされていた?・・・そうでしたか。光秀は良く叱られます。癇癪に触れてしまうのでしょうか・・・木下殿も良く怒られておる、ハハハ・・・」

「木下様?」

「ご存じないのか?木下藤吉郎殿を?」

「豊臣秀吉様のことでしたか?」

「豊臣?秀吉?」

まどかは言ってしまってからハッと気付いた。まだそう名乗ってはいなかったからだ。

「お忘れくだされ。勘違いをしておりました」

「それなら構わぬが、木下殿はきっと信長様一の家臣になって行かれると思うておる人じゃ。それに人間味も持ち合わせておるから光秀は・・・敵わぬかも知れん」

「光秀様は聡明で信仰深く理想の領主様だとお聞きしております。比叡山の事はきっと領民の理解が得られると思いますよ」

「そなた、そのようなことを思っていてくださったのか。かたじけない・・・光秀一番の心残りに思うておることであったからな。
しかし、まどかさまはお美しいだけでなく光秀など及ばぬほどの知恵者でお優しい人じゃ。女子でなければきっと天下を治めるに相応しい武人になっておられただろうな」

「そのようにお褒め下さいましては本気にしてしまいますよ。藤子と藤次郎様とこれから生まれるかも知れない子供達と末永く平和で明るい家庭を築いてゆけたら、十分でございます」

「わしとて同じ思いじゃ。戦はこの世から無くさねばならぬ。信長様もそのことは申されておる。木下殿とご一緒にこの光秀命をかけて励みたいと決意しております」

「ご立派です。まどかのような女子が申すことではありませんが、どのようなことがありましても今のお言葉忘れることがないようにお約束してくださいませんか?」