電話にまつわるへんな話
おれおれ詐欺
数年前、なんとわが家にも「オレオレ詐欺」の電話が……!
相手は夫の名を語り、かなりあわてたようすで息せき切っています。まあ、演技ですが。
ニセモノ「今、事故にあって、大変なんだ」
ワタクシ「え? けがでもしたの? だったらうちに電話するより病院に行けば」
ニセモノ「けがはないけど、追突しちゃって」
夫は東京の出版社に勤めており、電車で片道3時間通勤なので、車なんか乗りません。
ワタクシ、おもしろがって続けました。
ワタクシ「追突って、どこで?」
ニセモノ「え? 木更津」
ワタクシ「なんでそんなところにいってるのよ」(内心、「ば〜か」と思いながら)
ニセモノ「だって配達で」
ワタクシ「何、配達してるの」(もう、おかしくてたまりません)
ニセモノ「………」
ワタクシ「とにかく、まず警察行けば」
ニセモノ「いや、相手がやくざみたいで、金を……」(半泣き状態。演技力はなかなか)
ワタクシ「だって、あなたが運転してたの?」
ニセモノ「いや、先輩が……」
ワタクシ「先輩? だったらその人が責任とればいいでしょ」
のらりくらりと返事をするワタクシに、とうとう切れたのか、怒鳴ってきました。
ニセモノ「ばかやろう。そんなこと言ってらんないんだよ!」
ワタクシ「あんたに馬鹿よばわりされる筋合いなんかないわよ。馬鹿!!」
ここでやっと相手はばれていたことに気がついて、勢いよく電話を切ってしまいました。
もうちょっとかまってやろうと思ったのに。
みなさん、くれぐれもお気をつけて。
作品名:電話にまつわるへんな話 作家名:せき あゆみ