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つゆかわはじめ
つゆかわはじめ
novelistID. 29805
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蒼空の向こう

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 僕は答えに窮した。何も言えずに更に木炭を塗りこんだ。
「・・・何をしているの?梅雨川君」

 クラスメイトは作業を止めて僕と先生のやり取りを凝視している。

「・・・・シーザーを描いています」

「描いていますって・・・真っ黒じゃないですか」

「・・・・・・・これからです」

 僕は木炭を置いて「練りゴム」(デッサン用の消しゴム)を取り上げると、塗りこんだ木炭を消していった。

「・・・そうか!逆転の発想ね。消しゴムで描くのか〜!面白いわね・・・楽しみ!」

 授業が終わる頃には、真っ黒な画面に白いシーザーの胸像が出来上がっていた。
 先生はしきりに僕の「崖っぷち描法」を褒め称えた。
 職員室でも吹聴したらしくホームルームの後、担任の先生から呼ばれた。

「梅雨川・・・職員室までいいか?」

「・・・はい」

職員室のドアを開けると、担任と一緒に美術のS先生、そして陸上部顧問のH先生がいた。遠巻きに他の先生達も傍観している。僕が描いた絵が壁に貼られていた。

「梅雨川。お前、頭も良けりゃ、足も早い。ハハハッ・・・絵も上手いなぁ!」
「いえ・・・そんなでは・・・」

作品名:蒼空の向こう 作家名:つゆかわはじめ