蒼空の向こう
週が開けると、再び、H社に激震が走った。
巨大エージェントは、国税局を動かした。容疑は勿論、巨額脱税。
法の目を縫うかのように動いてきたH社だったが、高い年貢を収める結果となった。
200名に及ぶマルサが動き、午前9時丁度に、本社に立ち入り捜査が入る。全く、同時刻に、企画部にも10名を超えるマルサ達がやってきた。
一切の出入りが禁止され、取調べが行われた。二日間の缶詰状態。
当然ながら、僕も取調べを受ける事になった。僕が罪を問われる事は無かったが、潮時だと思った。
広告業界に戻るのは難しいだろう。先の事を考えると動きが鈍くなる。
まずは、この企画室を去ることにした。
末永達と別れるのは忍びないが、僕の人生だ。自分が信じた道を選ぶしかない。
僕は辞意を吉田係長に告げた。引き止められたが、僕の意志が固いことを知ると、社長に伝えると言ってくれた。そして、吉田係長を通じて、社長から、お礼の言葉と共に、承認された事が、僕に伝えられた。
企画室、最後の日。僕に一本の電話が入った。電話を取り次いだのは末永正雄。
「先生・・・来たよ・・・青い蝶」
「野本麻美?」
「うん・・・野本さん」
僕は受話器を受けとった。受け取って、受話器を暫く見つめていたが、深呼吸して電話に出た。



