蒼空の向こう
「あ、俺、末永・・・で、この人、先生。彼女は良子」
「学校の先生ですか?」
「ちがう、違う。先生は先生・・・師匠。何でも出来ちゃう先生」
「はっ・・・・・!?」
「末永・・・もう良いよ・・・ハハ・・・ママに伝えといてよ・・・梅雨川が来たって」
「ツユカワさん・・・ですね」
「そう・・・ツユカワ・・・それで良いから」
「畏まりました・・・・・・何か歌われますか?」
「末永・・・出番だよ」
「よっしゃ!・・・歌うぞ!」
末永はカラオケ本を開くと、爛々と目を輝かせた。
恐らく、ものの1分も立たぬ内に、この場のスターになる事は必至だ。
末永が何を選曲するのか・・・僕は興味深く見守った。
良子の掌が、僕の太ももの上に、優しく置かれた。
「先生・・・逢えなくて、ガッカリしたでしょう?」
「・・・そうだね・・・拍子抜けってヤツかな」
「出直すでしょう?」
「・・・・・・・・・・・そうだね・・・・・・・・・・・・」
カラオケが始まった。ポール・アンカのダイアナ・・・・・。末宗の、思いやりの選曲だった。



