蒼空の向こう
僕は、ラッキーストライクをポケットから取り出すと、ジッポライターで火をつける。深く吸い込んで、紫煙を吐き出す。その煙は、店の天井に向かって昇っていった。何となく、その煙の行き先を追っていると、末永が口を開いた。
「先生・・・聞いていい?」
「どうぞ・・・」
「あのさ・・・ニューヨークに居たんだよね」
「うん・・・2年だけね」
「ニューヨークの何処が良いの?」
「・・・・・う〜ん・・・何処って・・・無いんだよね・・・憧れだったから・・・ニューヨークでアートの勉強をするのが夢だったからね・・・強いて言えば・・・全てかな・・・末永が良子さんの全てを愛するようなものさ。僕が、どんなに説明しても判らないと思う・・・実際に行かなきゃ判らないよ」
「それって・・・すごく判りやすいね・・・先生はやっぱり先生だ。ハハハ」
「で?・・・もう一つは?」
「うん・・・探し物。いい女なんだろう?」
「うん」
「亡くなった嫁さんよりも?」
「・・・・それは・・・・比べられないよ・・・だって、違う人だから・・・」
「でもさ・・・そう言っても、比べたりしない?」



