蒼空の向こう
「聞いて驚くよ・・・佐賀県、鳥栖(とす)のスナック」
「鳥栖?」
僕は声が裏返ってしまった。
佐賀県鳥栖市。佐賀県の東端に位置する、人口6万人程の小さな街である。福岡からは、高速を使えば30分程だろう。その鳥栖に、あのブルーモルフォ、野本麻美が居るという。
大阪には行かなかったのか?
あの後・・・博多駅で別れてから、北へは向かわずに、南への列車に乗ったのか?もし、そうだとしたら、何故嘘をついたのか?
僕の脳裏で、好からぬ疑問が蠢き、そこで湧いた虫は、体中を這いずり回り、心臓に巣食う。そして、終には心を蝕む。
「・・・でね・・・はじめ君・・・はじめ君」
「あ・・・はい」
「大丈夫かい?・・・ボーっとしちゃって」
「いえ・・・鳥栖のスナックですか?」
「うん・・・店の名前、忘れたけど・・・会社に戻ればメモがあるよ」
「でも、どうして、それを西田社長が・・・?」
「こないだね・・・中洲のスナックに行ったんだよ。もう一つの会社の連中を連れてね・・・その時・・・憶えているかな・・・ホステスの由香里ちゃん。僕が、麻美ちゃんの事を言ったら、教えてくれたんだ・・・」
「そうなんですか・・・鳥栖にね・・・」



