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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夢の中へ」 第六話

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「お迎えに参りました。明智光秀が家臣土岐和成(ときかずなり)と申すもの。これよりまどか様を安土城までご案内つかまつる」

いつでも出立できるように準備はしていた。藤子は少しいかつい顔の和成に隠れるようにしていたが、まどかに手を引かれて歩き出した。

「これは藤子様、可愛らしゅうござる・・・和成と言います。覚えておいてくだされ」

そう話しかけると満面の笑顔に変わった。

「はい、かずなりさま。よろしゅうおねがいします」

ペコッと頭を下げた。

「おお!なんと言う良い子じゃ。母様のしつけがしっかりとなされておるな。感心じゃ」

「和成様、よろしくお願い申し上げます」

「任せてくだされ。命に代えましてもお二人を安土城まで無事お届けいたしましょうぞ」

和成は馬を曳いてきた。ゆっくりとまどかをまたがせ、その前に藤子を座らせて歩くような速さで街道を西に進み始めた。

「どうじゃ、怖くは無いでござろう?」

「はい、ありがとうございます」

「藤子様はどうじゃ?」

「こわくございません」

「それは良かった。時々首をなでてやってくだされ、喜びまするぞ」

「こうでございますか?」

藤子は言われたとおりに右手で優しく撫でた。

「おお、上手じゃ!きっと可愛らしい藤子様に馬も惚れてしまいますな、男でござるゆえ・・・ハハハ」

「ほれる?」

「そうじゃ、好きになるということですぞ」

「うまがですか?」

これには和成もまどかも大笑いした。

「そうじゃ、馬は人と同じで好き嫌いがはっきりとしておるで、馬に好かれるということは人にも好かれるということになりまするぞ」

「ふじこは・・・ははさまとちちうえがすきです」

「なんと・・・優しい子じゃ、涙が・・・出ますぞ」

二人を見上げて和成は何かを思い出したように涙を流した。