「夢の中へ」 第六話
「まどかどの・・・わしは必ずやそなたと再会するような気がしておる。前世からの縁に思えてならぬのじゃ・・・」
「それは・・・思い違いでございます。通りすがりの出会いに過ぎません。失礼なことを申し上げましたお許し下さい」
「いいのじゃ・・・そうかも知れぬからのう」
まどかは光秀に自分を懐かしむように見つめられた印象を心に刻んだ。
そのまなざしは謀反を起こすような激しいものには決して見えなかった。坂本城で再会するまでは・・・
元亀四年七月信長は将軍足利義昭を追放したことで年号を改正するように朝廷に働きかけ翌8月より天正元年となっていた。
数え3歳になっていた藤子はまどかに連れられて初めて木曽川を見た。川の流れに驚くようにまどかの後ろに隠れては覗いていたが、慣れてきたのか、まどかと手をつないで眺められるようになっていた。
作品名:「夢の中へ」 第六話 作家名:てっしゅう