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神様ソウル3

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「あのー、ちょっとカレーってやつを食べてみたいんで今からうちに来て作ってもらえません?」
 日曜日の朝、そんなテミスの呼び出しから始まった一連の騒動のお陰で僕の休日はあっという間に溶けて無くなってしまった。
 テミスの家を出てしばらく歩くとポツポツと雨が降り始めた。すぐ近くは家だからと気にせず歩いていると雨足が突然強まり、全身がずぶ濡れになってしまった。
 走って家に向かう。マンション脇の小さな公園を通り過ぎればその先が僕の家だ。
 そこで見慣れないものを見かけた。女の子だ。真っ黒いワンピースを着ている。一人で雨に打たれながら俯いた姿勢でブランコに座っていた。
 しばらく立ち止まって様子を伺ってみる。年齢は小学生か十代前半程度に見えた。時間はもう二十時を回っている。迷子かもしれない。声をかけてみることにした。
 「お嬢ちゃん、何してるの?」
 なんだか不審者のおじさんみたいな声のかけ方だな、と自分でも思ったが他に何も思い付かなかったんだから仕方ない。
 「んー……散歩」
 女の子はブランコをゆらゆら前後に揺らしながら答えた。
 「こんな所にいたら体に良くないよ。お母さんは?」
 「お母さん……?今はいない……のかな」
 曖昧な返答。家出少女だろうか。もしかしたら幽霊かも。どちらにせよ、ここでいつまでも話してても仕方がない。
 「とりあえず屋根のあるところへ行こう。このすぐ裏が僕の家だからさ。雨が止むまでそこで休もうよ」
 「……いいの?」
 女の子が顔を上げて僕の顔を見つめた。
 「か……!!!!」
 かわいかった。危うく声に出してしまうところだった。恐ろしく整った顔立ちで、美少女と呼ぶに相応しいルックスをしていた。ついでに体にぴったりと張り付いた服が見た目に不相応な色気を醸し出している。
 「……か?」
 女の子が首を傾げる。
 「あ、いやなんでもないです。じゃ行こうか」
 「うん」
 ブランコから立ち上がった女の子は僕の服の裾を小さな手でぎゅっと掴んだ。自分の体が強張っていくのを感じる。なんでこんな年下の女の子相手に緊張しなければならんのだ。と思いつつも期待に膨らんでいく僕の胸。いや何に期待してるんだ自分。
 僕はずぶ濡れの女の子と二人、軽い足取りで家へと歩きだした。
作品名:神様ソウル3 作家名:くろかわ