小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

消失 1

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 
「・・・ル、起きろ」
掛けられたのは、自分の声。意識の底がくすぐられる。
それと同時に、ふわりと体が浮いていくような感覚。というか水の中に沈められていたのが急に浮き上がらせられていくような感覚、と言ったほうがいいのかもしれない。
「ん――――・・・・」
目を開けるか、否か。迷う。どうしよう・・・。
そんな風に迷っていると、脳天にかなりキツい一撃が来た。
「おいハル!いい加減起きろッ!!」
「うっへい!」
慌てて飛び起きると、目の前には少々怒った表情をしている顔。先程まで聞こえていたのは自分の声ではなく双子の兄の玲音(れおん)の声だ。
「遥(はるか)、今日何の日かわかるか?」
急に問いかけられる。いつもより少し低いトーンは、朝のせいなだけでは無いだろう。
本来答えなければならない場面なのだろうが、
「・・・わかんない」
正直に答える。直後飛んでくる一撃。
「始業式だろが――――――っ!!」
「痛―――――――――ッ!!」
殴られた痛みと共に全てを思い出した。今日は一学期の始業式だ。
「やべぇ、今何時!?」
「7時55分だ!あと30分で開会だぞ!」
「うわマジかっ!」
「マジだ馬鹿ッ!」
慌てて飛び起きて、シワになろうと元より覚悟!とシャツを瞬速で着てブレザーを羽織る。玲音はとっくに準備ができていたようで、寮の部屋のドアの前で壁に寄っかっかって待っていてくれた。
「ほらっ」
「サンキュ、レイ」
バッグを投げ渡されたので上手く柄の部分を捕らえてキャッチする。ネクタイを忘れそうになって一歩部屋の中に戻り、華麗にターンを決めつつ机の上の目的物を取ると、ドアを蹴破って講堂まで駆けだした。

作品名:消失 1 作家名:黒官