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「舞台裏の仲間たち」(11)

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 「もう、お帰りの様でしたら、
 どうですか? 少し歩きながら話をしませんか。
 時絵ママは今帰ったばかりですから、もう少ししたら
 そこへ顔を出しましょう。
 たまには、石川さんを連れて来てくださいと
 きっちりと、指名をされてしまいました。」


 「でも、お店は今日は休みでしょう?」


 「特別のお客さんを招待するときには、
 定休日も、特にこだわらないということでした。」



 「ということは、
 あまり良い話では無い、かもしれない、
 という意味ですか。」


 「鋭いなぁ・・・石川さんも。
 好ましくない話には随分と、鼻が利くようになりましたね。
 たしかに、そんな類(たぐい)の話です。
 聞かれたくない内容などもありますので、
 少し、人気のない道などを選んで
 歩いていきますか。」


 「今日は、稽古の時間の前に、
 小山さんも顔を見せてくれました。
 なんだか今日は、
 みなさんが、私に特別に気を使っているような
 気配を感じますねぇ。」



 「そうかもしれません・・・」


 時絵ママのお店までは、裏道をゆっくり歩いても
20分もあれば到着をします。
表通りを避けて、裏町のそれも露地裏ばかりを選んで
歩いていくことになりました。



 二人が肩を並べてやっと歩けるような細い路地が、
桐生の裏町には、いたるところに残されています。
織物産業が最盛期の頃に、敷地いっぱいに工場や寄宿舎などが
建て尽くされたために、当然の結果として形造られた
桐生ならではの街並みでした。


 「言いにくい話と、
 言いづらい話があります。
 どちらから、先にはじめましょうか。」


 「それは、たぶん、
 私に関するあまりよくない話と、、
 座長さん自身にまつわる話があると言う意味ですか。
 順序は、座長さんにお任せします。」


 「それでは、
 私とちずるのことから話しましょう。
 その前に、煙草を一本どうですか。」