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ヴィンセント
ヴィンセント
novelistID. 41447
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あの夏、キミがいた。

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遠くからドンドンと響く太鼓の音、そしてかすかに聞こえる、懐かしい祭囃子。

 何年ぶりだろうか、この、何故か胸が高鳴る音。

 日本の、おそらくどこの地方へ行ってもごく当たり前に見られる夏の風物詩なのに、やはり久方振りに帰った実家、子供の頃から変わらぬ縁側のその場所に吊り下げられた風鈴を小さく鳴らす、夏の夜風に乗って聞こえてくる懐かしい響きは知らず、僕の気持ちを切なく持ち上げる。

―ああ、そうだった、あの夏、この祭囃子が響き渡る神社の境内に確かに君は居たんだ。―