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ナガイアツコ
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novelistID. 38691
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不揃いの本たち〜指なし男と失恋女〜

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「あなたは人に本を譲ることで、親指の喪失感を癒す。私は本を手に入れることで、過去の恋愛の喪失感を癒す」

「そのとおり」

「持ちつ持たれつってワケね」

「そういうこと」

「でも、私ばっかり貰っちゃっていいのかしら?私は本を貰ったけど、あなたには何もあげていないじゃない?」

彼はちょっとの間、思案げに宙を見つめ、そして言った。

「何をプレゼントしてくれるかは、今度ゆっくり考えてくれればいいよ。あるいは、本を自分で読めなくなった男のために、ベッドの中で寝物語を語ってくれてもいいんだぜ」

「・・バカじゃないの?やっぱりそういう部類の男だったのね」

私たちは笑い合い、グラスをカチンと合わせて、改めて乾杯した。二つの癒された心を祝す、東京、夜の10時半。