ハリーの憂鬱
約束の、午後三時。
柳瀬ファミリーがやって来た。
四〇代前半のご夫婦。そして、・・・小学六年生の男の子。
(これから先は、僕の記憶力を最大限に発揮し、忠実に書きます)
僕は、少し緊張しながら、柳瀬ファミリーを出迎えた。
「こんにちは〜柳瀬です〜」
「こんにちは、梅雨川です。遠いところを、ありがとうございました。」
「主人と・・・息子の翔太です・・・翔太、ご挨拶しなさい。」
「〜こんにちは・・・」
大人しそうな子だ。勉学に勤しむタイプだろうか・・・賢そうな顔立ちをしていた。ご主人は、物静かで優しそうだ。奥様は満面の笑みを浮かべながらも、少し恥ずかしそうだった。
家族を人に紹介するのは、照れくさいのだろうか。
初対面のせいでもあるのだろう。
「こちらへどうぞ・・・ハリーはデッキにいます」
「あ、はい・・・」
玄関の右手。庭を通ってデッキに向かった。
家族は黙ってついてくる。
静かな家族。そんな印象を受けた。
ハリーが、僕に気づいてシッポを振った。
「あの子です。最初から、近づかない方がいいと思います。時間をかけてやってください」
「はい・・・わかりました」