ハリーの憂鬱
ハリーはいつも一人ぼっちだった。
孤独なハリー。
唯一の友達は僕。
僕は、ハリーの事が可愛くて仕方がなかった。
だが、その気持ちを、無理に押さえ込むようにした。
言葉さえ飲み込んだ。
僕は、必ず別れが来る事を知っていた。いや、里親を探し出せば必然的にそうなる。
ハリーには、未だ見ぬ優しい里親に、全てをぶつけて欲しかった。
里親にも、そう願うだろう。
どうか、僕の分まで、ハリーを愛して欲しいと・・・。
しかし、そんな、奇跡のような里親が現れるだろうか・・・。
でも、それくらい願わないと、僕はズルズル、自己満足でハリーを飼うことになり、チビ達とハリーの間で苦しむ事が目に見えるようだったのだ。
そうなれば、皆が不幸になる。
だから、ハリーの愛情のポケットには、ほんのちょっとだけしか入れなかった。
ハリーが入れて欲しいと願っても、入れないようにしたのだ。
当初、なかなか里親が見つからずに苦労した時、僕が飼い主になろうか・・・と考えていたのだが、彼達の距離感を見ているうちに、その難しさを感じた。
やはり、ハリーの気持ちを理解してくれて、正面から付き合ってくれるような里親を探し出さなければ、ハリーに幸せは来ないような気がした。
僕は、再び里親探しに力を注ぎ出した。