ハリーの憂鬱
僕はメールを読みながら微笑ましく思い、つい顔が綻んだ。
「あら・・・何かいいことがあったんですか?」
そう声をかけたのは・・・・会社の大輪の花、平井女史。
「うん・・・・実はね・・・」
僕は事の経過をかいつまんで話した。
「そう・・・よかったですね〜・・・でも、その・・・白鳥さん?・・・素敵な人。それにご家族も・・・・みんな、優しいんですね」
「そうだね・・・君と同じじゃないか」
「あら・・・それって褒めてくださってる?」
「だって・・・ほら・・・残り・・・貰ってくれるんだろう?」
「げっ!そんな事言ってないって!・・・いらないいらない!」
「そう言わずにさ・・・・実家に番犬がいるだろう?」
「番犬ならい、いますって!」
「初耳だね」
「いますいます。弟の子ども達。あの少年二人・・・あの二匹・・・もう、あれ以上無理ですよぉ」
「そう・・・・考えといて」
「だから・・・む・・・」
僕はパソコンを閉じると、そそくさと車に乗り込み「万寿の湯」へと向かった。
雨上がりの空に、いつもより美しい満月が浮かんでいた。
ラブは幸せを掴みました。