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妻のうしろ

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「おはよう」
「あ、おはよう。起こしちゃったかしら」
「いや、普通に起きる時間だよ」
「あ、そう。染み付いた習慣ね」
「君のほうが……」
今朝、週末だというのに珍しく早起きをした妻は、私と朝の挨拶を交わしたときには既に
お出かけ候の服に化粧まで済ませていた。
私は、テレビのスイッチを入れ、どっかりとソファに腰を下ろした。

このソファは、小さなアパートからこの住まいに引っ越した時、精一杯で買ったものだ。当時、購入リストから何度も外されたが、リビングにソファがある生活をひとつ成し得たご褒美としたかった私の願いが叶った。まあ、月の小遣い三割引の条件と引き換えにはなったのだが。

そのソファも二、三箇所痛んで穴があきそうなほど擦れているが、腰の収まり感が馴染んできている。月の小遣いも割引なしになったうえに多少の上乗せもされるようになった。
私も会社で役職が付くようになり、部下という人材も付けて貰える立場を得た。
愛の結晶といえる子どももできた。そしてその子どもたちもそれぞれに自分の空間を持ちここからは巣立っていった。妻とふたりのツーショット生活。言うものなんだが、幸せである。
作品名:妻のうしろ 作家名:甜茶