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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夢の中へ」 第三話

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「藤次郎、良かったな。これで目出度し目出度しじゃ。今夜は祝おうぞ。簡単に祝言を挙げよう。そして今夜は契りを結ぶがいい。どうじゃまどかさん?」

「はい・・・」

今夜は契りを結ぶ、その言葉は十五になっていたまどかには十分に解ることだった。

藤次郎の両親は駿府城の傍に住んでいた。父親は今川家でも知られた存在で義元が出掛ける際には馬を引いて供をしていた。
子供の頃からその父親の勇士を見て育った藤次郎と弟の藤三郎は自分達もそうなりたいと願っていた。

文武に通じるために読み書き、武道を母親は習わせていた。今川の尾張侵攻に付き添って出立した父にどうしても着いて行くと兄弟は母親に懇願した。
街道一の軍備を誇る今川勢に不安を感じなかったのか、父親は妻とともに2人の子供を同行させた。名だたる武将たちもそうしていた。よもや奇襲を受けて負けるとは想像もしなかったであろう。

この敗戦で大高城にいた家康は三河に戻り織田側に付いた。後に義元が治めていた駿河、遠州、三州の所領を手にして信長の野望「天下流布」を後押しした。