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格闘料理ショー

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カンカンカンと残り5分を知らせるゴングが鳴った。

源はほぼ料理を終えようとしていた。棒々鶏と麺に、あとは巧妙に本物に似せたフカヒレスープをかけるだけである。妨害するなら今だと空になった中華鍋を盾がわりにし、中華包丁を手にして平の方に近付いて行く。

一方、平は茹でて水洗いした細目のうどんに、薄く削いだ鯛を載せ、茹でた野菜、生の野菜を盛りつけていた。そして特製タレを手にするために横に一歩動いた時、もの凄い音がした。平は(しまった、料理に夢中になって源のことを忘れていた)と思いながら音のした方を向いた。綺麗に盛りつけた器が割れ、麺や野菜が飛び散っていた。源の使っていた中華包丁が床に転がっていた。

平は手にしていたタレの入った鍋とお玉を持ったまま源の方に向かった。源は勝利を確信したように笑顔だった。料理の前でガードするように立ちふさがった。目一杯近付いたところで持っていたお玉を投げつけた。源が横に少し動いて逃げた。その僅かな隙を目がけて平は鍋ごとタレを投げつけた。あとはスープをかけるだけだった源の料理に平のタレがかかった。

平は急いで戻り、散らばった料理を新しい器に移し替えた。タレが無い。平は咄嗟に醤油とマヨネーズをかき回し、かけた。

ブーッと大きな終了を知らせる大きな音がして司会のアナウンサーが両者を呼び寄せた。

審査結果は源の勝利だった。源の料理本体と平の作ったタレが絶妙の味を醸しだしていると審査員全員の意見が合ったのだった。

ヘルメットを脱いだ二人が笑顔で握手をする。観客が大きな拍手を続けて、なかなか止まなかった。

作品名:格闘料理ショー 作家名:伊達梁川