ひとつだけやりのこしたこと
【翌朝のわたしのさとみへのメール 2011年4月22日 8:21】
おはよう大好きなさとみ。
つださんからも過去の自分からも、飛び立って自由に生きるさとみ。
ケンちゃんともきっと、互いの自由を尊重したつきあいができる。
おめでとうさとみ。
ねえ、あのあと、つださん、泣かなかったよ。
6月には会えるし、電話もできるし、「一番の親友」って言ってくれたから。
それにわたしさとみの選択をとても納得したの。
何よりそれを自分の心とだけ相談して決めたこと、それがつださんには嬉しかったし。
つださん、大丈夫みたい。
これからもいっぱいお話ししようね。笑い声を聞かせて。
いままでもこれからも、つださんはさとみが大好きだから。
【さとみからの返信 2011年4月22日 13:01】
今朝のつださんのメールとてもうれしかった。
つださん、泣かないでくれてありがとう。
だから、私も泣かない。
本当は昨日まで何回も泣いたり、突然涙が出たりしていたんだよ。
自分が何でこんな気持ちになってしまったのか情けないのと、コントロールできない悔しさとか、つださんに申し訳ない、つださんがかわいそうとかいろんな気持ちが混ざって、すごく辛かった。
そうしているうちに、私のしていることはあいつと同じではないのか、と思いはじめてますます混乱して、その混乱につださんまで巻き込んでしまってごめんね。
どんな時も、つださんはちょっと離れて見守ってくれて、私の手を引っ張ることはなかったね。
今回も、最後まで私が自分で心の中を整理するのを見守ってくれていたね。
一番辛い立場にいる当事者だったのに。
本当にありがとう。
泣かないって言ったのに涙出てきちゃった。
でも、これは悲しい、苦しい涙じゃないから。
ありがとうの涙だから。
わたしはつださんのこと今でも大好きだなって思う。
好きって言葉にもっと種類があったらいいのにね。
あのね、つださんと私は終わったんじゃなくて、今までと違った形で新しく始まるって思ってていい?
他の人が聞いたらなんて身勝手なって言うかも知れないけど。
きっとつださんはいいよって言ってくれるよね。
作品名:ひとつだけやりのこしたこと 作家名:つだみつぐ