CHARLIE'S 23
最終章 4Years later「4年後」
1933年。
あれから4年が過ぎた。
大不況の煽りを受けて捨てられた犬達の憂鬱は終わったわけではない。
だが、フランクのプランはニューヨーク市民に受け入れられた。
殆どの捨て犬が何らかの形で行き場を見つけた。そして、焼却炉からは黒い煙が昇らなくなった。
フランクはロックランド郡に広大な土地を買い、牧場を作った。
名前をドッグダムと言う。犬達の王国という意味だ。
里親が決まらなかった犬達は、そこで不自由なく暮らしている。
ハチベェもドッグダムの住犬になったが、そこで見かける事は殆ど無い。
唯、マンハッタンで小麦色の弾丸を見たという噂は良く耳にした。
チャイナとコリアは手を結んだ。それにイタリアも加わってダウンタウンに平和が訪れた。
路地裏では子犬達の遊ぶ姿が良く見られるようになった。
夜になるとトラジー、タカコそしてペスカトーレが揃って秘密クラブの楽屋裏で談笑しているのが目撃された。
何時しかダウンタウンのビッグ・スリーと呼ばれ、慕われるようになっていた。
ソラは再び退屈なお嬢様に戻った。
しかし、仲良くなったレストラン・アイリスのモモコとココと冒険に出る計画を立てて遊んだ。
実際に冒険に行くのではない。妄想して遊ぶのだ。
オフ・ブロードウェイではハナの「ヘソ天クネクネダンス」がロングランヒットとなり、今でも公演されている。
もちろん、アヅキとペコもダンサーとして頑張っている。
ハナビとロクは元の住処で静かに暮らしている。
ハナビは教会の中に小さな犬用教会を作ってもらい、そこの神父になった。
世界広しと言えども、ドッグ・チャーチは此処ニューヨークのハーレムにしかないだろう。
作品名:CHARLIE'S 23 作家名:つゆかわはじめ