CHARLIE'S 23
「費用はどうする?」
「それは問題ありません。スターがいます。」
「スター?」
「大統領もご覧になられたでしょう?自動車を自在に乗りこなすビーグル犬ですよ。細かいプランは後ほどお話しましょう」
「判った・・・この犬たちを救おうじゃないか」
「聡明な大統領に感謝いたします」
後ろから穏やかな声がした。
「私もお力添えいたしましょう」
「あなたは・・・オーナーのウィリアム・ウォルドルフさん」
「知事・・・先頭にいるパピヨン・・・うちのソラですよ。ハハハ・・・あんなに勇気があったなんて・・・それに、お客様のワンちゃんもいるようです。アイリス様のモモコとココ。AJ様のチャコも・・・資金はお任せ下さい」
「よし・・・では・・・・普通に話しても通じるのかね?ワン語は話せないぞ。ハハハッ」
フーバー大統領は記者達を側に呼びつけると、犬たちに向かい、声を張り上げて語りかけた。ストロボが一斉に焚かれ、ARCもラジオ放送を続けた。
「諸君!私は・・・32代アメリカ合衆国大統領のハーバート・クラーク・フーバーだ。君たちが何を言わんとしているか・・・残念ながら私には判らない。だが・・・先ほどから起きている現実から目を背ける訳にもいかない。君たちが望むのであれば・・・君たちの代弁者である、ルーズベルト・ニューヨーク州知事が家と食料を与える。そして、それを望むものには家族を与える事を大統領の名の下に約束しようじゃないか!有史以来・・・君たちと人間はうまくやってきた。人間の都合で捨てられた犬たちには同情する。しかし、止む無くであったろう事も理解して欲しい!我々の過ちを正当化しようというのではない。人は過ちを犯す。それを許して欲しいのだ。そして、時には弱い人間の心の支えとなって欲しい・・・どうだ!・・・我々を許してくれるか!?・・・・・ルーズベルト君、反応がないぞ」
「シッポを振れ!」
「なに?」
「判ったらシッポを振れ!・・・って言ってみてください」
「判った・・・・・・・・ウォホン!・・・・どうだ!判ったら・・・・シッポを振ってくれ!」
作品名:CHARLIE'S 23 作家名:つゆかわはじめ