CHARLIE'S 23
犬たちがシッポを振る。
ワサワサ・・・ワサワサ・・・
強風に煽られ枝葉を擦りあわす、竹林のようだ。
ワサワサ・・・ワサワサ・・。
それはウェーブの様に広がっていった。
セントラルパークに、戦いの風が起きた。
「間も無く俺達は行動に出る!ニューヨーク州知事、そして、アメリカ合衆国大統領に正面から気持ちをぶつける!・・皆、尻尾を振れ!」
ワサ・・・ワサワサ・・・。
ワサワサ・・・ワサワサワサ・・・。
「ペスカトーレ」
「おうっ!」
「俺とベッちゃん、そしてハチベェで、アストリアホテルの正面玄関へ切り込む」
「凄い警備体制だぞ。ポリスがワンサカだぜ」
「だからペスカトーレの力が必要なんだ。正面玄関まで道を切り開いてもらいたい。俺達はリバーサイドを北上して59丁目に入る」
「そうか、そこからパーク・アベニューに入り、南下する気だな」
「うん。その道を切り開いて欲しい」
「でも、アストリアホテルまでは、どうやって行くんだ?」
「自動車だよ。T型フォードがある」
「じ、自動車!?一体、誰が運転するんだ?」
「私・・・だっちゃ!」
「べ・・・ベッちゃん!?」
「ベッちゃんは、車の運転が出来る、世界で唯一匹のビーグル犬だ」
「信じられネェ・・・」
「だったら、その目ン玉で確かめるっちゃよ!」
「ハハハ・・・こりゃ、凄い騒ぎになりそうだ」
「いいか、ペスカトーレ・・・犠牲者は出すなよ。犬は勿論、人間にもだ。犠牲者が出れば交渉が出来なくなる」
「少々、難しいが・・・やってみよう」
「合図はクイーンズボローの袂でクラクションを2度鳴らす。そこからアストリアまで、ノンストップでブッ飛ばす」
「任せとけ!」
「マイク。サン!」
「出番ですか!」
作品名:CHARLIE'S 23 作家名:つゆかわはじめ