CHARLIE'S 23
その度に、体の彼方此方が切れて血が滲んだ。
僕は・・・チャーリーJr.の息子だ!・・・負けるもんか!・・・。
自分を鼓舞しながら大地を蹴る。
再び枝葉が飛ぶ・・・。
クッ!・・・・負けるもんか!・・・僕は・・・パパの子だ!・・・。
タタッ、タタタ、タタッ、タタッ、タタタ・・・・・・。
再び、オオカミが上から襲ってきた。
四つの足を、同時に前へ出して止まると、真後ろに切り返した。後ろ足が枯葉の下の土を深く掴む。
弾みで顎が上がり長い耳が靡く。その耳をオオカミの鋭い牙が切り裂いた。
「クッ!・・・」
負けない・・・絶対に負けない!
裂かれた耳から血を滴らせながらも、ルイスは駆けた。
今の方向転換で、少しだけ距離が開いた。ルイスは森の外に向かって力を振り絞る。
タタッ、タタタ、タタッ、タタッ、タタタ・・・・・・。
ドドッ、ドドド、ドド・・・・・・。
距離が縮まる・・・オオカミの前足がルイスのシッポを掠める。
その時、オオカミに向かって黒い塊が突進してきた。
「ドンッ!」
「グアッ!!」
オオカミは不意の突進に脇腹を強かに打たれた。
「グッ・・グアッ・・・・・」
「さぁ・・・今のうちだ、こっちへ!」
ルイスは言葉を発する余裕も無く、後を追う。
森を出て、救世主の姿を見た。
作品名:CHARLIE'S 23 作家名:つゆかわはじめ