CHARLIE'S 23
第11章・追悼。ちゃらんべえ・蘭丸に捧げる
友人が死んだ。
ちゃらんべえ・蘭丸。住処はハーレム137町目のジーオン教会。
同居犬のハナビが知らせてくれた。
蘭丸は目が見えなかった。しかし、鋭い嗅覚で生活に支障はなかった。
ただ、高齢でもあり、この夏から体調を崩していた。
チャーリーJr.からすれば犬生の大先輩である。友人と呼ぶにはおこがましいが、それ程に年の壁を感じさせない穏やかなミニチュア・ダックスだった。
教会ではハナビ同様、誰からも親しまれ、そして愛された。
ジーオンでは年に一度、チャリティの為のオリジナルミュージカルが開催される。
蘭丸は今年、その役を貰った。
目が見えない元ソルジャーの役だった。蘭丸はその役を立派にこなし、オリジナルミュージカル「ドッグダム」は大成功に終わった。その後、体調を崩したのだった。
セントラルパークの更に北。ハーレムの中心地に墓地がある。
しめやかに葬儀が行われた。同居犬のハナビが、神父として取り仕切った。
生前、交友のあった友犬、知犬が訃報を聞いて走り寄ってきた。
墓地の片隅に西洋ボダイジュの木がある。そのボダイジュに抱かれるようにして埋葬された。
葬儀が終わっても、何匹かが、ボダイジュの下から動こうとしなかった。
自然と、天に召された蘭丸の話題を中心に会話が生まれた。蘭丸の友好関係は多岐に渡っていた。
見てみよう・・・。
人目でセレブだと判る、ソラ<パピヨン>は大統領も宿泊するウォルドルフ・アストリアに棲んでいるアイドル犬。
ベッちゃん<ビーグル>はイーストサイドの自動車工場がねぐらで、犬だてらに車の運転が出来る。
ロク<ミックス>は、ミッドタウンの町医者、ドクター・ドリトルの飼い犬。
ミウ<バーニーズ・マウンテンドッグ>とゴン<チャウチャウ・ミックス>セントラルパークの管理人、ジャジの飼い犬。
同じく、セントラルパークがねぐらのアラン<ヨーキー>。
サン<ラブラドール>はブロードウェイを縄張りにするゲイ犬のリーダー。
作品名:CHARLIE'S 23 作家名:つゆかわはじめ