他人行儀じゃない他人的関係 後編 屋情
はっきり言っちゃえば、それっぽいことを言ってみただけで、本当の理由はただ単純に
「お前が少しイラつくから、邪魔したくなった」
からである。
「………」
それを聞き、女は虚を突かれたかのように呆然とし、
「――あはははははははははは!」
そして大声で愉快そうに笑い出した。
「おもしろいわ。楽しめたわ。そんなのもいいじゃない」
女はすたすたと屋上の扉に向かっていった。
扉のところで女は立ち止まり、
「自殺はやめる、なんとなく死ぬ気をなくしたわ」
と言い、そして扉の向こう側に消える瞬間、
「さよなら」
と言ったように聞こえた。
「――はあ……」
一人だけになった屋上で俺はゆっくりと座り、穏やかに吹く風を味わった。
少し疲れたように感じるが今考えることは、一つだけである。
「明日……部活あるかな」
Fin…
作品名:他人行儀じゃない他人的関係 後編 屋情 作家名:okurairi