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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夢の中へ」 第二話

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「まどか、次郎左さまの言われた事は本当だ。助けられた俺はあの小屋で匿われながら過ごした。戦の後始末も終わって、時が過ぎた頃家に来いとお誘いいただいたが、今川方の生き残りの俺が居ては迷惑になると考えて小屋で生活が出来るようにしてもらった。最初は大変だったが生きる、生きていたいと強く願う気持ちが何でも出来る自分になれたんだ」

「藤次郎さん、わたしだったらきっと死んでいたでしょうね。平穏に見える今でもあなたが居なければ、きっと生きてゆけない・・・そう思います」

「まどか、お前を絶対に死なせはしない。俺が命をかけて守るから・・・嫁さんになってくれ」

少しの沈黙があってまどかは藤次郎の目をじっと見つめて返事をした。

「はい・・・わたしでよければお嫁さんにしてください」

喜び飛び跳ねる藤次郎の様子を見て次郎左は笑って見せたが、この2人の出会いの偶然には恐ろしい秘密が隠されているようにも感じられた。
それはまどかが言った枕元に立った子供を連れた武将の言葉に引っかかるものがあったからだ。
藤次郎には弟が居た。彼にはあまりにも悲しい出来事だったので封印してしまって語ろうとはしない。
まどかの話を聞いて心のどこかに「父と弟のことかも知れない」そう考えたであろう。そのことを次郎左は知っているのだ。