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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夢の中へ」 第二話

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藤次郎の勧めでまどかは下町に出掛けることになった。仙人塚を過ぎて街道は熱田へと続く東海道があった。
この時代はまだ宿場町が完成されていなかったので、ひなびた農村がいくつか点在しているだけだった。
それでも山の生活に比べると、活気があった。街道を往来する人はまばらでも、村には着物や小間物を売っている店があったりした。
同じものをずっと着ているまどかに藤次郎は思い切って着物を買ってやろうと連れてきたのだ。

店の主人に一番安い着物を見せてもらって、勘定を昨日捕れたしし肉で払いたいと見せた。

「ほう、これは珍しいものを・・・まだ獲れたてのようじゃな」

「はい、昨日捕獲しましてございます」

「そうか、そちらの妹さんかのう、お美しい方に差し上げたいのじゃな?」

「はい、そうでございます」

「その気持ちが嬉しいぞ。持って行きなされ・・・大切になされよ」

「ありがとうございます!まどか・・・さあ着ろ。着て見せてくれ」

「藤次郎さん、いいのですか?わたしのためにそのようなことまでして頂いて」

「構うものか。お前が喜ぶ顔が俺には一番のことだからな」

「はい・・・そうさせてもらいます」