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半分

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 そう、あれは中学一年生の夏のことだった。当時美術部だった俺は、先生からイーゼルを取ってくるよう頼まれ、美術準備室に入ったのだ。部屋の中は空調がついておらず、蒸し暑かった。
 部屋の奥には彫刻が並んでおり、ダビデ像のレプリカの隣に、ミロのヴィーナスのレプリカが置いてあった。あの夏の蒸し暑い部屋の中で、西日を受けたヴィーナス像はひどく幻想的で美しく見え、その光景が目に焼きついた。
 その時に初めて女性というものを意識し、性というものに目覚めたのだ。それからはあの美術準備室での光景を夢想し、美を追求していこうと心に誓ったのであった。
 
 それから十数年が経ち、いまでは立派に育った俺の姿がある。周りの人は俺を好青年だと見ているようだが、中身はそんなことはない。俺の胸の中に育った、女性の裸への願望というものは日に日に大きくなっていて、はちきれんばかりなのだ。
 中学のときは単なる美の対象としての女性の裸だったが、いまでは性的欲求と混ざり合い、一つの大きな衝動として俺を突き動かす。
 いまのところ理性や自制心で持ちこたえているが、それがなくなってしまえば何をするかわかったものではない。
 そんな悶々とした状態のまま街を歩いていると、いつの間にか裏通りの薄暗い十字路に来てしまっていた。なんだか薄気味の悪さを感じ、立ち去ろうとすると、ふいに目の前に悪魔が現れた。
作品名:半分 作家名:ト部泰史